ストーリーが繋がる場所、青森

太宰がつなぐ

津軽の地に生まれ、恍惚と不安に満ちた生涯を飄々と送った太宰治が、昭和19年に故郷を訪ね歩いて遺した私小説が『津軽』だ。JR津軽線に乗れば、その太宰の旅を辿ることができる。

【太宰 治】

本名・津島修治。1909年(明治42年)6月19日、青森県五所川原市(旧金木町)に、県下有数の大地主である津島源右衛門の6男として生まれる。十代の頃より文学に傾倒し、やがて小説家となる。主な作品として『走れメロス』『津軽』『お伽草紙』『斜陽』『人間失格』などがある。1948年(昭和23年)6月13日没。

小説『津軽』

1944年5月から3週間にわたり、取材のため故郷・津軽半島を旅行した太宰治の小説。同じ年、小山書店より出版。現在は、岩波文庫、新潮文庫、角川文庫から刊行されている。津軽の風土や人々を描いた紀行文的な内容だが、多くの研究者は物語性を持つことなどから、自伝的小説と捉えている。

桜の時期必食の蟹

青森市からJR津軽線で約40分の場所にある外ヶ浜町の蟹田駅前に、蟹田駅前市場「ウェル蟹」がある。ここは、魚や肉、野菜や加工品など、地場の味覚を販売する小さな市場だ。トゲクリガニが蟹田の名物だが、これは桜が咲く季節のもの。その時期にこの地を訪れたなら、ぜひ味わってほしい。

駅から海沿いへ向かうと見えてくる観瀾山公園は、標高40メートルほどの丘陵地の公園。ここからは陸奥湾が眺望でき、三十三番観音像の石仏群や太宰治の文学碑、そして、太宰が小説『津軽』で書いた言葉を生かして開催された、「風のまち川柳大賞」の受賞作の句碑群も建っている。
地元の人々は、桜が咲き誇る時期にはこの公園で、茹でたトゲクリガニを肴に酒を酌みかわすそうだ。聞けば、春は蟹田川のシロウオ漁、地元でガサエビと呼ぶシャコも旬を迎えるという。
『津軽』の中の太宰は、蟹田から北へ向かう。JR津軽線では、蟹田の駅から終点の三厩駅まで40分ほど。ここでの目的は、『津軽』の中で、太宰が親友のN君と訪ねた源義経伝説の残る「龍馬山 義経寺」だ。伝説の中では、海を渡れるよう観世音に一心に祈願する義経に、白髪の翁が現れ、三頭の龍馬に乗り海を渡るがよいと告げ、義経一行は無事に夷島に渡れたという。これは、太宰が訪ねた時から65年以上が経った今もなお、熱く語り継がれるロマンだ。

蟹田駅前市場「ウェル蟹」

蟹田駅前市場「ウェル蟹」

営業時間 7:30~18:00
定休日 不定休
電話 0174-31-1112(ウェル蟹)
住所 外ヶ浜町字上蟹田34-1
観瀾山公園

観瀾山公園

電話 0174-31-1228(外ヶ浜町産業観光課)
住所 外ヶ浜町字蟹田小国東小国山

太宰が追った義経伝説の地

「龍馬山 義経寺」を後にしたら、三厩地区循環バスへの乗車がお勧めだ。海べりにはりつくような曲がりくねった道を進むにつれ、荒々しくうねる海の姿が車窓から目に飛び込んでくるからだ。この北国ならではの風景は、一見の価値ありだ。
そしてバスは、義経伝説ゆかりの「鎧島(よろいじま)」へ。ここにも波濤が打ち寄せ、その迫力を堪能することができる。この鎧島の少し先にある龍飛岬郵便局の隣は、太宰らが宿泊した「旧奥谷旅館」を改修した施設「龍飛岬観光案内所」。ここでは、太宰が泊まった部屋が再現されているので、ぜひ見学を。ここで太宰と親友のN君はどんな思いを抱いたのか、考えてみるのも一興だろう。
「龍飛岬観光案内所」付近に整備されているのは「太宰碑公園」。ここからのんびりと漁港まで歩いて辿りつくのは、「龍飛漁港」だ。甲岩・鎧島同様に義経伝説が残る「帯島(おびじま)」の手前にある。そしてそこは、津軽半島最北の港らしく強い風だけが吹き渡っている。ウミネコが強風に翻弄されながら滑空していくさまは、圧巻としか言いようがない。

厩石

厩石

電話 0174-31-1228(外ヶ浜町産業観光課)
龍馬山 義経寺

龍馬山 義経寺

料金 参拝自由
電話 0174-37-2045(義経寺)
住所 外ヶ浜町字三厩家の上76

本州最果ての地龍飛へ―

龍飛崎は、「最果ての地」と、太宰が体感した場所でもあった。周辺は灯台を中心に遊歩道で、天気のよい日には津軽海峡を挟んだ北海道の松前半島や、海峡を行き交う船舶が見渡せる絶景の場所である。有名な「階段国道」339号は、漁港手前に登り口がある。車が通れない、日本で唯一の国道だ。
この国道を一躍有名にしたのは、362段もの階段があること。階段国道を上りきると、道は階段町道へと変わり、さらに上へとあがっていくと、海からの風を遮るもの何もないため、体いっぱいに海風を感じることができるだろう。階段を上り詰めたところには、風吹きすさぶ北端の地・龍飛崎がある。ここは青森県屈指の観光名所で、展望広場や土産物屋、白亜の龍飛埼灯台もある。多くの観光客でにぎわっているのを、草葉の陰で太宰はどんな風に感じているのだろうか。
この龍飛崎では、太宰が『津軽』で感じた「ここは、本州の極地である。この部落を過ぎて路は無い。あとは海にころげ落ちるばかりだ。路が全く絶えているのである。ここは、本州の袋小路だ。読者も銘肌せよ」という感覚に包まれることだろう。

龍飛崎・龍飛崎灯台

龍飛崎・龍飛崎灯台

電話 0174-31-1228(外ヶ浜町産業観光課)
太宰治文字

太宰治文字碑

電話 0174-31-1228(外ヶ浜町産業観光課)

SPOT

青森でつなぐ

平内でつなぐ

外ヶ浜でつなぐ

今別でつなぐ

蓬田でつなぐ

広域周遊の手引き

PICK UP

イベントカレンダー

パンフレット

青森へのアクセス

ページ上部へ戻る